米連邦準備制度理事会(FRB)が9月11日に公表した資金循環統計によると、米国の家計・非営利団体の純資産は2026年4〜6月期に12.8兆ドル増加し、195.9兆ドルとなりました。増加の中心は株式の値上がりです。米国株へ投資するNISA利用者にとっても、株高の恩恵と偏りのリスクを同時に考える材料です。
何が起きたか【確認済みの事実】
FRBの2026年4〜6月期・資金循環統計では、家計部門の純資産が1〜3月期の183.1兆ドルから195.9兆ドルへ増加しました。直接・間接保有を含む株式の価値は10.7兆ドル増え、不動産は1.1兆ドル増加しています。一方、預金は0.1兆ドル減少しました。
純資産の可処分所得に対する倍率は8.28倍となり、統計上の過去最高を記録しました。家計債務は年率換算5.0%で増え、住宅ローン借入の増加が主因とされています。
背景:資産を買った増加と値上がりによる増加は違う
今回の12.8兆ドル増加の多くは、家計が新たに同額を貯蓄した結果ではありません。保有していた株式や不動産の市場価値が上がる「再評価」が大きく寄与しています。このため、純資産が増えても自由に使える現金が同じだけ増えたわけではありません。
資産価格の上昇で消費者が豊かになったと感じ、支出を増やす現象は「資産効果」と呼ばれます。景気や企業業績を支える可能性がある一方、相場が反転すれば逆方向に働くこともあります。
投資家への影響
米国家計の株式価値が大きく増えたことは、米国株の上昇が家計のバランスシートへ広く波及したことを示します。ただし、FRB自身も株式保有は高所得層に集中しており、すべての家計が同じ恩恵を受けるわけではないと説明しています。
株式が金融資産に占める比率が上がるほど、今後の家計純資産は市場変動の影響を受けやすくなります。これは株高が続くとの予測ではなく、資産価格への感応度が高まったという確認です。
NISA利用者・家計への影響
S&P500や全世界株式を保有する日本のNISA利用者も、米国株の値上がりによって評価額が増えている可能性があります。ただし円換算の基準価額には為替も影響するため、米国の統計と自分の運用成績は一致しません。
含み益が増えたときこそ、資産配分の偏りを確認する機会です。株式比率が当初の想定を大きく超えている場合は、新規積立の配分調整やリバランスを検討できます。利益が出たから直ちに売却する、最高値だから投資を止める、といった一律の判断は避けます。
FP松尾の視点
純資産は「資産−負債」で見る数字です。投資口座の評価額だけでなく、預金、保険の解約返戻金、不動産、住宅ローンやその他の借入を含めて年1回程度棚卸しすると、家計の変化が見えます。相場上昇で増えた含み益は、生活防衛資金とは分けて扱うことが大切です。
注意点・反対の見方
米国家計全体の純資産が過去最高でも、生活が一律に楽になったとは言えません。平均・総額の統計は資産保有の格差を隠しやすく、物価高や借入金利上昇の負担は別に存在します。また、株価や不動産価格が下がれば純資産は減少し得ます。
まとめ
米国家計純資産は4〜6月期に12.8兆ドル増え、195.9兆ドルとなりました。主因は株式の値上がりであり、現金収入の増加とは異なります。NISA利用者は相場の勢いを追うより、含み益で変化した資産配分と、家計全体の純資産・負債を確認する材料にしましょう。
