日本の長期金利が大きな節目に達しました。2026年9月15日、指標となる10年国債利回りは一時3.04%前後まで上昇し、1996年以来およそ30年ぶりの高水準となりました。日銀の政策金利とは別の金利ですが、住宅ローン、債券投信、日本株の評価に広く影響するため、家計でも無視できない動きです。

何が起きたか:10年国債利回りが約3.04%へ

確認済みの事実として、財務省の金利情報では10年国債利回りは9月14日時点で2.988%でした。その後15日の市場では一時3.04%前後へ上昇し、約30年ぶりの水準を付けました。日本証券業協会も、前日午後3時時点の公社債の参考価格・利回りを翌営業日付で公表しています。

日々の数値は財務省の国債金利情報日本証券業協会の売買参考統計値で確認できます。

背景:物価・日銀・財政への警戒

市場で指摘されている見方では、原油高による物価上昇懸念、日銀の追加利上げ観測、国債発行増加への警戒が重なっています。海外でも米国や欧州の国債利回りが上昇しており、日本だけの現象ではありません。

ただし、長期金利は政策金利と同じではありません。政策金利は日銀が短期の金融市場を誘導する目標で、10年国債利回りは将来の物価・政策金利・財政や国債需給を織り込んで市場で動きます。日銀会合前の思惑だけで上下する可能性もあります。

債券投信への影響

金利が上がると、すでに発行されている低い利率の債券価格は下がります。そのため、国内債券ファンドや長期国債ETFは短期的に基準価額が下落しやすくなります。満期までの期間が長い債券ほど、同じ金利上昇でも値動きが大きくなるのが一般的です。

一方、新しく発行される債券の利回りは高くなります。金利上昇が一巡すれば、債券ファンドはより高い利息収入を積み上げられる可能性があります。「金利上昇=債券はすべて不利」ではなく、保有中の価格下落と将来の利回り改善を分けて考える必要があります。

日本株・NISAへの影響

長期金利の上昇は、将来利益を現在価値に割り引いた株価評価を低くしやすく、特に高い成長期待を織り込んだ銘柄には逆風となる場合があります。また、企業の借入負担も増えます。

反対に、貸出金利の上昇が収益改善につながりやすい銀行や、金利上昇の恩恵を受ける業種もあります。NISAで日本株やTOPIX投信を持つ人は、指数全体だけでなく業種構成の違いを確認したいところです。金利だけで日本株全体の上げ下げを断定することはできません。

住宅ローンと家計への影響

10年国債利回りは固定型住宅ローンの金利に影響しやすい指標です。新規借入や固定期間終了後の借り換えでは、提示金利が上がる可能性があります。一方、変動金利は短期金利との連動が中心で、10年金利が上がったから直ちに同じ幅で上昇するわけではありません。

預金金利や個人向け国債など、安全資産の利回り改善は家計にとってプラスです。ローン利用者と預金中心の世帯では影響が逆になる点が重要です。

FP松尾の視点

私の見解では、長期金利3%台は「預金だけでは増えない」という前提を見直すきっかけになります。投資余力まで全額株式に回すのではなく、数年以内に使う資金は預金や短期債、長期資金はNISAの株式・投信というように、期間別に置き場所を分ける価値が高まっています。

注意点・反対の見方

今回の上昇が長く続くとは限りません。原油価格の反落、物価見通しの低下、日銀の慎重姿勢などで金利が下がれば、債券価格は反発します。金利の方向を当てる目的で債券ファンドを一括売買するより、保有期間と価格変動への耐性を確認する方が重要です。

まとめ

日本の10年国債利回りは9月15日に約3.04%へ上昇しました。既存債券の価格には逆風ですが、預金や新規債券の利回り改善という面もあります。住宅ローン、NISA、日本株への影響を分け、家計全体の資産配分を確認しましょう。