金融庁は2026年9月18日、「投資信託及び投資法人に関する法律施行規則」の一部改正を公布・施行しました。対象は現物拠出型ETFを設定する際の手続きです。個人投資家が保有するETFを直ちに売買しなければならない変更ではありませんが、ETFを組成・運営する際の実務に関わるルールとして押さえておきたい内容です。
確認済みの事実:30%超の銘柄部分を金銭で設定できるように
金融庁の公表によると、現物拠出型ETFの構成銘柄のうち、ETFの設定を申し込む者の所有割合が30%を超える銘柄に相当する部分について、金銭で設定できるよう規定が整備されました。公布・施行日は9月18日です。
現物拠出型ETFは、指数を構成する株式などを持ち込んで受益権を設定する仕組みを基本とします。今回の改正は、特定銘柄の保有割合が大きくなる場面で、その部分を現物ではなく金銭で扱える選択肢を設けたものです。
背景:ETFの「設定」と個人の売買は別の話
ETFには、取引所で投資家が売買する市場と、指定参加者などがファンドの設定・交換を行う仕組みがあります。前者は通常の株式売買に近く、後者はETFの受益権を供給・交換する専門的な手続きです。今回の制度改正は主に後者に関するもので、個人が証券会社の画面で行う通常の売買ルール、保有中のETFの口数、分配方針を変更するものではありません。
投資家への影響:長期的には商品供給・運営の選択肢に
設定手続きの柔軟性が高まれば、一定の条件下でETFの組成や資金流入への対応が行いやすくなる可能性があります。ただし、改正だけでETFの流動性が高まる、信託報酬が下がる、基準価額と市場価格の乖離が縮小するとまでは言えません。ETFごとの出来高、売買スプレッド、純資産総額、対象指数、運用コストは引き続き個別に確認が必要です。
市場の見方としては、制度上の選択肢が増えることは運用実務の制約を減らす一歩と評価できます。一方、一般の投資家にとっての投資成果は、結局は保有する資産の値動き、コスト、売買価格に左右されます。
NISA利用者・家計への影響
この改正によってNISAの年間投資枠や非課税保有限度額が変わるわけではなく、すべてのETFが新たにNISAで買えるようになる変更でもありません。NISAでETFを検討する場合は、まず利用している証券会社で対象銘柄かどうかを確認し、投資信託と比べた売買単位、手数料、分配金の扱い、積立設定の可否を比べましょう。
家計から投資に回す資金は、短期で使う予定の資金と分けるのが前提です。ETFの制度ニュースをきっかけに新しい商品へ乗り換えるのではなく、資産全体で何にどれだけ投資しているかを先に確認することが重要です。
FP松尾の視点:商品構造の改善と「買う理由」は切り分ける
制度が整うことは市場にとって前向きな材料になり得ます。ただし、制度改正そのものは投資対象の収益性を保証しません。ETFを選ぶ理由は、「どの指数・資産に投資したいか」「資産全体での役割は何か」「コストと値動きを受け止められるか」で説明できる状態にしておきたいところです。
注意点・反対の見方
現物と金銭を組み合わせられることは、設定時の実務を複雑にする側面もあります。個人投資家は制度の細部だけで将来の値動きを判断せず、目論見書、運用報告書、取引所が示す商品情報を確認しましょう。新規上場ETFやテーマ型ETFでは、指数の分散度合いと流動性の確認が特に大切です。
まとめ
9月18日の制度改正は、現物拠出型ETFの設定において、特定条件下で金銭を使えるようにするものです。個人の保有ETFやNISA枠に直ちに変更はありません。ETFを選ぶ際は、制度ニュースを入口にしつつも、指数・コスト・流動性・資産配分という基本に戻って判断しましょう。
