米議会予算局(CBO)は2026年10月8日、2026会計年度の米連邦財政赤字を1兆9,930億ドルと推計しました。前年より2,180億ドル増え、純利払い費は1兆1,430億ドルに達しています。財政赤字は遠い政治の話に見えますが、米国債の供給、長期金利、株式の評価、ドル相場を通じてNISAにも関係します。
何が起きたか
確認済みの事実:CBOの2026年9月月次予算レビューによると、2026会計年度の主な数値は次の通りです。
- 歳入:5兆4,030億ドル(前年比1,690億ドル、3%増)
- 歳出:7兆3,960億ドル(前年比3,860億ドル、6%増)
- 財政赤字:1兆9,930億ドル(前年比2,180億ドル、12%増)
- 政府債務の純利払い費:1兆1,430億ドル(前年比1,150億ドル、11%増)
個人所得税と給与税は合わせて2,550億ドル増えましたが、歳出の増加がそれを上回りました。財政専門メディアも、利払い費が税収の大きな部分を占める状況を報じています。
背景
確認できる背景:社会保障、メディケア、メディケイドなどの給付費が増え、防衛費も拡大しました。さらに、債務残高の増加と長期金利の上昇により、純利払い費が前年より11%増えています。短期金利の低下は一部を和らげましたが、全体の利払い増加を打ち消すには至りませんでした。
なお、CBOの数値は財務省の8月までの月次資料と9月の日次資料を使った推計です。財務省の確定値とは差が出る可能性があります。
投資家への影響
市場で考えられる見方:大きな財政赤字が続くと、政府が資金を調達するための国債発行が増え、長期金利の上昇圧力になることがあります。利回りが上がれば既発債の価格は下がりやすく、長期債を多く持つ債券ファンドほど値動きが大きくなります。
株式では、金利上昇が将来利益の現在価値を押し下げ、PERの高い成長株に逆風となる場合があります。一方、景気悪化や安全資産需要が強まれば、財政赤字が大きくても国債が買われ、金利が低下することもあります。財政赤字だけで金利や株価の方向を断定することはできません。
NISA利用者・家計への影響
S&P500やオルカンをNISAで積み立てる人は、米国株の利益成長だけでなく、長期金利が企業価値に与える影響も確認したいところです。米国債ファンドでは、残存期間が長いほど金利変動の影響を受けやすいため、デュレーションと為替ヘッジの有無を確認しましょう。
ドル円への影響は一方向ではありません。金利上昇がドルを支える場合もあれば、財政への警戒がドルの信認を弱める場合もあります。外貨資産を保有する家計では、株価と為替の両方が円換算額を動かします。
FP松尾の視点
FP松尾としての見解:2兆ドルという大きな数字を見て、米国株や米国債をすぐ売る必要はありません。ただし、米国資産が家計の金融資産の大半を占めている場合は、財政・金利リスクを含めて偏りを点検する良い機会です。NISAでは、資産クラスと地域を分散し、急な金利変動でも積立を続けられる現金余力を確保することが大切です。
注意点・反対の見方
財政赤字は名目額だけでなく、GDP比、景気局面、インフレ、国債需要と合わせて見る必要があります。米ドルは基軸通貨で、米国債市場には厚い需要があります。また、最終的な金利はFRBの政策や物価・雇用にも左右されます。今回のCBO推計だけで債券安・株安・ドル安のいずれかを決めつけるのは適切ではありません。
まとめ
米国の2026会計年度の財政赤字は約2兆ドル、純利払い費は1.1兆ドルを超えました。国債供給と金利を通じて米国株や債券に影響し得ますが、相場の方向は景気やFRB政策でも変わります。NISA利用者は売買を急がず、米国資産への偏り、債券の期間、為替リスクを確認しましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の状況とリスク許容度を踏まえて行ってください。
