育児休業に入ると給与が減る、または支給されなくなるため、「育児休業給付金はいくら受け取れるのか」「いつまで続くのか」は家計計画の重要なポイントです。2025年4月には、一定の要件を満たす人を対象に出生後休業支援給付金も始まりました。
結論からいうと、育児休業給付金は雇用保険から支給され、原則として育児休業開始から180日までは休業前賃金の67%、181日目以降は50%が目安です。さらに出生直後に本人と配偶者がそれぞれ一定期間の育児休業を取得するなどの要件を満たすと、最大28日間は13%が上乗せされ、合計80%になります。
①雇用保険の加入期間、②育児休業中に会社から支払われる賃金、③出生後休業支援給付の対象になるか、④勤務先が申請する時期を確認しましょう。
育児休業給付金とは?育休中の収入減を補う制度
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得したとき、一定の条件を満たすと支給される給付です。健康保険から支給される出産手当金とは、支給元も対象期間も異なります。
| 給付 | 主な対象 | 役割 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金 | 出生後8週間以内の産後パパ育休 | 最大28日間の収入減を補う |
| 育児休業給付金 | 原則1歳未満の子の育児休業 | 育休中の収入減を補う |
| 出生後休業支援給付金 | 出生直後に一定期間の育休を取る人 | 最大28日間、13%を上乗せ |
| 育児時短就業給付金 | 2歳未満の子のため時短勤務する人 | 時短勤務による賃金低下を補う |
この記事では、休業中に受け取る育児休業給付金と出生後休業支援給付金を中心に解説します。産休中の給付については「出産手当金はいくら・いつもらえる?」をご覧ください。
支給条件|雇用保険の加入期間と就業日数を確認
一般的な育児休業給付金の主な条件は次のとおりです。
- 雇用保険の被保険者として育児休業を取得している
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある
- 11日以上の月が足りない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上の月を数える
- 1か月ごとの支給単位期間に、就業日数が10日以下(10日を超える場合は80時間以下)である
- 有期雇用の場合、子が1歳6か月になるまでに契約終了が明らかでない
過去2年間に病気やけがなどで30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、確認対象期間を最長4年間まで延ばせることがあります。転職歴や失業給付の受給歴がある場合は判定が変わることがあるため、勤務先またはハローワークへ確認してください。
パート・アルバイトでも、雇用保険の加入と上記の条件を満たせば対象になり得ます。一方、雇用保険に加入していない自営業者やフリーランスには、原則として育児休業給付金はありません。
いくらもらえる?最初の180日は67%、その後は50%
支給額は、原則として次の式で計算します。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
育児休業開始から181日目以降は50%
休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6か月間の賃金を180で割って計算します。賞与は通常含まれません。また、賃金日額には毎年見直される上限・下限があるため、高収入の場合でも実際の給与全額に給付率を掛けるわけではありません。
たとえば休業前6か月の賃金合計が180万円、賃金日額が1万円の場合、30日分の概算は次のようになります。
| 期間 | 計算例 | 概算額 |
|---|---|---|
| 育休開始から180日まで | 1万円×30日×67% | 20万1,000円 |
| 181日目以降 | 1万円×30日×50% | 15万円 |
会社から育児休業期間を対象とする賃金が支払われる場合は、給付が減額または不支給になることがあります。給与明細の支給日だけでなく、どの期間を対象とする賃金かを確認する必要があります。
出生後休業支援給付金で最大28日間は13%上乗せ
出生後休業支援給付金は2025年4月に始まった制度です。本人が対象期間に通算14日以上の育児休業を取得し、原則として配偶者も一定期間に14日以上の育児休業を取得した場合などに、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%が上乗せされます。
通常の67%と合わせると給付率は80%です。育児休業等給付は非課税で、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除されるため、厚生労働省は「手取り10割相当」と説明しています。ただし、賃金日額の上限、休業中の賃金、住民税の支払いなどによって実際の家計収支は異なります。
配偶者が無業、自営業・フリーランス、産後休業中などの場合は、配偶者の育児休業を要件としない扱いがあります。「夫婦とも必ず14日以上取らなければ対象外」とは限りません。
いつまでもらえる?原則1歳、条件により最長2歳
育児休業給付金の支給対象は、原則として子が1歳になる前日までです。夫婦で育児休業を取得する「パパ・ママ育休プラス」の条件を満たす場合は、子が1歳2か月になるまで対象期間を延ばせます。ただし、父母それぞれが受け取れる期間には上限があります。
保育所等に申し込んだものの利用できない場合や、子を養育する配偶者が死亡・負傷した場合など、法令上の理由があれば1歳6か月、さらに2歳まで延長できることがあります。
保育所に入れないことを理由とする延長は、単に申込みを忘れた場合や、入所保留を希望していることが明らかな申込みでは認められません。市区町村の申込期限、入所希望日、申込書の写し、入所保留通知書を早めに確認しましょう。
申請方法|原則は勤務先経由、本人申請も可能
受給資格確認と支給申請は、原則として勤務先が事業所を管轄するハローワークへ行います。本人が希望すれば直接提出することも可能です。初回は賃金台帳、出勤簿、育児休業申出書、母子健康手帳の写しなど、休業期間・賃金・出生を確認する書類が必要です。
申請してすぐに振り込まれるとは限りません。会社の給与締日、証明書の作成、ハローワークの審査を経るため、育休開始から初回入金までの生活費をあらかじめ準備しておくことが大切です。
- 育児休業の開始日と終了予定日
- 会社が初回申請を行う予定日
- 会社から支払われる給与・手当の有無
- 出生後休業支援給付金も同時申請するか
- 延長を予定する場合の保育所申込期限
税金・社会保険料はどうなる?
育児休業等給付は非課税です。給付金そのものには所得税がかからず、給与が支給されない場合は雇用保険料の負担もありません。健康保険・厚生年金保険料は、事業主の届出により免除されます。免除期間も将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。
一方、住民税は前年の所得を基に計算されるため、育児休業中も納付が必要になることがあります。給与天引きができなくなる場合の納付方法と金額を、勤務先や自治体からの通知で確認してください。
FP視点|給付率より「入金の空白期間」を見る
家計では、最終的な給付総額だけでなく、給与が止まってから初回給付が入るまでの資金繰りが重要です。毎月の固定費、出産後に増える支出、住民税、会社独自の手当を一覧にし、少なくとも数か月分の生活費を普通預金で確保しておくと安心です。
民間の医療保険や収入保障を考えるときも、出産手当金、育児休業給付、社会保険料免除などの公的保障を先に反映し、不足額だけを検討します。「民間の医療保険は必要?」もあわせて確認してください。
よくある質問
育児休業給付金は毎月振り込まれますか?
支給単位は1か月ごとですが、実務では2か月分をまとめて申請するケースがあります。申請日と振込日は会社の手続きや審査状況で変わるため、勤務先へ確認してください。
育休中に少し働くと給付金はなくなりますか?
直ちになくなるとは限りません。支給単位期間の就業が原則10日以下、10日を超える場合は80時間以下などの条件があります。賃金額によっては給付が減額・不支給になるため、勤務先と事前に調整しましょう。
父親も育児休業給付金を受け取れますか?
受け取れます。性別ではなく、雇用保険の加入期間、休業取得、就業日数などの要件で判定されます。出生後8週間以内の産後パパ育休には出生時育児休業給付金があります。
育児休業給付金と出産手当金は同時にもらえますか?
原則として対象期間が異なります。出産した本人は産後休業中に出産手当金、その後の育児休業中に育児休業給付金を受ける流れが一般的です。配偶者は出産直後から出生時育児休業給付金の対象になり得ます。
まとめ
育児休業給付金は、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した雇用保険の被保険者を支える制度です。給付率は最初の180日が67%、その後は50%が基本で、一定の要件を満たせば出生後最大28日間は13%の上乗せがあります。給付額だけでなく、会社の申請時期、初回入金までの生活費、住民税、保育所申込みの期限まで確認しましょう。
公的情報
- 厚生労働省「育児休業等給付について」
- 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」
- ハローワークインターネットサービス「育児休業等給付」
- 厚生労働省「育児休業等給付Q&A」
本記事は2026年10月15日時点の公表情報に基づいています。個別の受給可否や申請期限は、勤務先または管轄ハローワークへ確認してください。
