日本銀行が2026年10月14日に公表した9月のマネーストック速報によると、M2は前年同月比2.0%増、広義流動性は4.3%増でした。広義流動性の内訳では投資信託が14.0%増となっています。お金の量が増えたから株価が上がると単純には言えませんが、現預金と投資商品の動きを考える重要な統計です。

何が起きたか

確認済みの事実として、9月のM2は前年同月比2.0%増、平残は1,295.6兆円でした。M3は1.2%増の1,638.3兆円、国債や投資信託などを含む広義流動性は4.3%増の2,344.3兆円です。

内訳では、現金通貨が前年同月比1.3%減、預金通貨は横ばい、準通貨は4.7%増でした。広義流動性に含まれる投資信託は14.0%増の128.8兆円となっています。詳しい定義と数値は、日本銀行「マネーストック速報(2026年9月)」で確認できます。

背景

M2は現金通貨と国内銀行などの預金を中心とした指標です。M3は対象金融機関を広げ、広義流動性はさらに投資信託、国債、外債などを加えます。どの指標を見るかによって「世の中のお金」の範囲が変わるため、増加率だけを比較する際には注意が必要です。

金利が上がる局面では、普通預金のまま置かれていた資金が定期性預金や市場性商品へ移ることがあります。今回も準通貨が増え、現金通貨が減っています。ただし、投資信託の増加をNISAだけの効果と判断することはできません。統計には証券投資信託と不動産投資信託の累積純投資額が含まれます。

投資家への影響

市場で意識される見方として、マネーストックの増加は経済活動を支える資金が増えている可能性を示します。しかし、資金が増えても企業や家計が支出せず預金として保有すれば、株価や景気を直接押し上げるとは限りません。物価上昇を差し引いた実質的な増加幅も考える必要があります。

投資信託の伸びは資産運用への資金移動を示す材料ですが、株式型、債券型、REITでは値動きや金利感応度が異なります。投資信託全体の増加だけを理由に、日本株や特定のファンドの先高を予想するのは早計です。

NISA利用者・家計への影響

NISA利用者にとって大切なのは、現預金から投資へ何円移すかを家計ごとに決めることです。統計上、投資信託が増えていても、周囲に合わせて生活防衛資金まで投資に回す必要はありません。近い将来に使う教育費、住宅関連費、車の買い替え資金は預金で確保し、長期間使わない資金を投資に振り向けるのが基本です。

一方で、物価が上昇するなか、長期間使わない資金をすべて無利息に近い預金で保有すると購買力が目減りする可能性があります。預金、個人向け国債、投資信託などの役割を分け、目的と期間に合った置き場所を選びましょう。

FP松尾の視点

FP松尾としては、マネーストックの数字から「預金より投資が正解」と結論づけないことが大切だと考えます。まず毎月の生活費の6〜12カ月分を目安に緊急資金を確保し、その次に5年以内の予定支出を分けます。残った長期資金について、NISAの積立額とリスク許容度を決める順番が現実的です。

注意点・反対の見方

今回の数値は平均残高の前年同月比で、月末時点の残高や新規購入額とは異なります。また、2026年1月以降の一部計数は今回訂正されています。投資信託の増加にはさまざまな保有主体が含まれ、個人のNISA買付額を直接示す統計ではありません。

まとめ

9月のM2は前年比2.0%増、広義流動性は4.3%増、投資信託は14.0%増でした。資産運用への資金移動を考える材料ではありますが、相場の方向を断定する数字ではありません。NISA利用者は統計の勢いに合わせるのではなく、生活防衛資金、予定支出、長期運用資金の順に分けて判断しましょう。

本記事は公表資料を基にした一般的な情報提供であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。