財務省が公表した2026年10月募集の個人向け国債は、変動10年の初回金利が年2.05%、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%となりました。いずれも2%台ですが、金利の決まり方と保有期間は異なります。元本割れを避けたい資金の置き場所として関心が高まるなか、預金やNISAとどう使い分けるかを整理します。
何が起きたか
確認済みの事実です。財務省の10月7日公表資料によると、変動10年・第199回債の初回利率は年2.05%、固定5年・第187回債は年2.39%、固定3年・第197回債は年2.07%です。税引後は順に約1.63%、約1.90%、約1.65%です。募集期間は10月8日から30日、発行日は11月16日です。
変動10年は基準金利の0.66倍で、半年ごとに金利が見直されます。今回の基準金利は3.10%でした。固定5年は基準金利2.44%から0.05%を差し引き、固定3年は基準金利2.10%から0.03%を差し引いて決まり、満期まで利率は変わりません。いずれも最低金利0.05%が設けられています。
背景
個人向け国債の金利は、国債市場の利回りを基に決まります。長期金利が上がれば新たに募集される個人向け国債の利率も上がりやすくなります。ただし、変動10年には0.66倍という係数があるため、同じ時点の10年国債利回りがそのまま適用されるわけではありません。固定型は購入時の利率を満期まで確定できることが特徴です。
市場で売買する通常の国債や債券ファンドは、金利上昇時に価格が下がることがあります。一方、個人向け国債は額面100円で発行・償還され、原則として発行から1年後以降は国が買い取る仕組みです。そのため、価格変動を日々気にせず保有しやすい反面、1年未満に使う予定の資金には向きません。
投資家への影響
金利がさらに上がると考えるなら、半年ごとに利率が変わる変動10年は将来の上昇を取り込みやすい選択肢です。反対に、今の利率を確定したい人には固定5年や固定3年が分かりやすいでしょう。今回、固定5年の利率が最も高いからといって、常に最良とは限りません。資金を使う時期と今後の金利変化に対する考え方が選択の軸です。
中途換金は原則として発行から1年経過後に可能ですが、直前2回分の各利子相当額に一定の係数を掛けた調整額が差し引かれます。元本100円そのものは守られても、短期間で換金すれば受取利息が少なくなる点に注意が必要です。購入後に保有者が死亡した場合や大規模災害で被害を受けた場合には、1年未満でも中途換金できる特例があります。
NISA利用者・家計への影響
個人向け国債はNISAの対象ではありません。利子には通常約20%の税金がかかります。それでも、値下がりを避けたい教育費、住宅購入資金、数年後の大型支出などでは、株式ファンドと役割が異なります。NISAは長期成長資金、個人向け国債は守る資金というように、目的で分けると整理しやすくなります。
預金との違いも確認しましょう。預金は金融機関ごとに元本1,000万円とその利息まで預金保険制度の対象ですが、個人向け国債は国が元利払いを行います。普通預金はすぐ使える流動性が高く、個人向け国債は1年間の換金制限がある代わりに、今回の募集では2%台の利率です。緊急予備資金まで国債に移さないことが大切です。
FP松尾の視点
FP松尾としては、利率の高さだけで一本に決めず、使う時期に合わせて分ける方法が実務的だと考えます。1年以内に使う資金は預金、3~5年程度使わない資金は固定型、より長く置けて金利上昇にも対応したい資金は変動10年、長期の成長資金はNISAという整理です。生活防衛資金を確保したうえで、満期を分散させると資金繰りもしやすくなります。
注意点・反対の見方
個人向け国債にもインフレリスクがあります。受取利息が2%台でも、物価上昇率がそれを上回れば実質的な購買力は減ります。また、固定型を買った後に市場金利が上がれば、新しい商品の方が高金利になる可能性があります。反対に金利が下がれば、固定型で利率を確保した効果が出ます。将来の金利を正確に予測することはできないため、期間を分けて購入する考え方も有効です。
まとめ
2026年10月募集の個人向け国債は、変動10年2.05%、固定5年2.39%、固定3年2.07%です。変動型は半年ごとに金利が変わり、固定型は購入時の利率が続きます。原則1年後から中途換金できますが、利子の調整額が差し引かれます。NISA、預金、個人向け国債を優劣だけで比べず、使う時期と値下がり許容度で役割を分けましょう。
