米国の住宅市場で、着工件数と先行指標の建築許可件数がともに減少しました。米センサス局が2026年9月17日に公表した8月の住宅着工件数は、季節調整済み年率換算で127万5,000戸、前月比2.6%減でした。住宅関連株、REIT、金利、NISAへの影響を解説します。
何が起きたか
確認済みの事実:米センサス局・住宅都市開発省の8月統計では、住宅着工は年率127万5,000戸で前月比2.6%減、前年同月比1.2%減でした。先行指標となる建築許可は139万4,000戸で前月比2.7%減。ただし前年同月比では3.5%増えています。
一戸建て着工は91万8,000戸で前月比7.6%増えた一方、5戸以上の集合住宅は34万4,000戸でした。完成件数は112万8,000戸で前月比11.9%減、前年同月比27.1%減です。総数の減少と一戸建ての増加が同時に起きており、住宅市場を一方向だけで評価しにくい内容です。
背景:住宅ローン金利が再び上昇
フレディマックによると、9月17日時点の米30年固定住宅ローン金利は平均6.95%で、前週の6.76%から上昇しました。15年固定も6.26%です。住宅価格が高い状態で借入金利も上がると、購入者の返済負担が重くなり、住宅需要や建設計画を抑える要因になります。
9月16日にFRBが政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げたことも、長期金利と住宅ローン市場を通じて注目されます。ただし住宅ローン金利は政策金利だけでなく、米国債利回りや信用リスク、需給でも変動します。
投資家への影響
市場で意識される見方:着工や許可の減少は、住宅建設会社、建材、家具、住宅設備などの業績に慎重材料となります。金利上昇は不動産の資金調達コストを増やすため、REITにも逆風になり得ます。
一方、一戸建て着工が前月比7.6%増えたことは、すべての住宅需要が弱いわけではないことを示します。供給が絞られれば既存住宅価格を支える可能性もあり、住宅関連株やREITが統計発表だけで一律に下がるとは限りません。
NISA利用者・家計への影響
S&P500や全世界株式の投資信託を保有する人は、住宅建設会社だけでなく、銀行、建材、小売、不動産などへの波及を確認したいところです。米国REITを保有する場合は、物件の種類、借入比率、債務の満期、賃料収入の安定性によって金利上昇の影響が異なります。
日本の住宅ローン金利へ直接連動するわけではありませんが、米金利の高止まりがドル円や世界の債券利回りを通じて日本にも波及する可能性があります。日本で住宅購入を予定する人は、米国の数値だけで判断せず、日銀政策と国内の固定・変動金利を確認してください。
FP松尾の視点
FP松尾としての見解:住宅は「資産価格」と「毎月の返済負担」を分けて考える必要があります。高い金利でも住宅価格が必ず下がるとは限りません。投資では利回りだけでREITを選ばず、借入コストや物件稼働率を確認すること。家計では借りられる上限ではなく、金利上昇や収入減があっても返せる額を基準にするのが安全です。
注意点・反対の見方
住宅着工の前月比2.6%減には±12.0%の誤差幅があり、統計上は実際の増減を断定できません。一戸建ての7.6%増にも±14.0%の幅があります。また、月ごとの天候や大型集合住宅の着工で総数は振れます。今後は新築住宅販売、住宅価格、在庫、住宅ローン申請なども合わせて見る必要があります。
まとめ
8月の米住宅着工は前月比2.6%減、建築許可は2.7%減となりました。一方、一戸建て着工は増加しています。NISA利用者は「住宅市場全体が悪化」と単純化せず、金利、住宅種類、企業財務を確認する判断材料にしましょう。
