財務省は2026年11月6日、11月募集の個人向け国債の発行条件を公表しました。表面利率は固定5年が年2.17%、固定3年が年1.94%、変動10年の初回利率が年1.85%です。預金金利が上がる中、安全資産をどう置くか、NISAとどう使い分けるかを考える材料になります。
何が起きたか
確認済みの事実として、11月募集分の税引前利率は固定5年2.17%、固定3年1.94%、変動10年1.85%です。税引き後はそれぞれ約1.729%、約1.546%、約1.474%となります。募集期間は11月9日から30日、発行日は12月15日です。
募集価格と償還金額はいずれも額面100円につき100円です。発行から1年を経過すれば国の買取による中途換金ができますが、直前2回分の各利子に相当する調整額が差し引かれます。原則として発行後1年間は換金できません。
背景
個人向け国債には、半年ごとに利率が見直される変動10年と、購入時の利率が満期まで変わらない固定5年・固定3年があります。今月は固定5年の利率が最も高いですが、今後さらに市場金利が上がれば、変動10年の適用利率も見直される可能性があります。
10月募集分は変動10年2.05%、固定5年2.39%、固定3年2.07%だったため、11月は3タイプとも利率が低下しました。なお、12月募集分からは販売対象が一部法人等にも広がり、名称が「個人向け国債プラス」に変わる予定ですが、個人向けの商品性は基本的に変わらないと財務省は説明しています。
投資家への影響
個人向け国債は、満期まで保有した場合の元本と利払いを国が責任を持って行い、通常の国債のように市場価格で売却する商品ではありません。価格変動を避けて円資産を置きたい人には選択肢になります。一方、株式や投資信託のような値上がり益は期待しにくく、インフレ率が利率を上回れば実質的な購買力は低下します。
固定5年は現在の利率を確定できる反面、その後に金利が上がっても利率は変わりません。変動10年は半年ごとに金利が見直される一方、将来利率が下がる可能性もあります。満期だけでなく、資金を使う時期と金利見通しへの考え方で選ぶことが重要です。
NISA利用者・家計への影響
個人向け国債は現行NISAの対象外で、利子には原則20.315%の税金がかかります。ただし、NISAと競合するというより役割が異なります。NISAは長期の成長資産、個人向け国債は数年以内に使わない円の安全資産として分ける考え方ができます。
教育費、住宅購入資金、老後直前の資金など、使う時期が近いお金を株式だけで持つと値下がり時に困る可能性があります。一方、発行後1年間は原則換金できないため、日常の緊急予備資金をすべて個人向け国債に移すのも適切ではありません。普通預金と分けて管理しましょう。
FP松尾の視点
FP松尾としての見解は、利率だけで固定5年を選ばず、「いつ使うお金か」から逆算することです。5年以内に使う可能性があるなら固定3年や預金を含めて比較し、長期間使わないが価格変動は避けたい資金なら変動10年も候補になります。NISAの積立をやめて国債へ全額移すという二者択一ではありません。
注意点・反対の見方
個人向け国債は預金保険制度の対象ではなく、日本国政府の信用に基づく商品です。また、中途換金時には調整額が差し引かれます。金融機関のキャンペーンだけで判断せず、税引き後利回り、換金制限、将来の金利変化、インフレを確認しましょう。将来金利が下がると考えるなら固定金利を選ぶ合理性もありますが、予測は確実ではありません。
まとめ
11月募集の個人向け国債は固定5年2.17%、固定3年1.94%、変動10年1.85%です。NISA対象外で利子は課税されますが、円の安全資産として役割があります。利率の高さだけでなく、使う時期、1年間の換金制限、NISAとの資産配分を合わせて判断しましょう。
