金融庁は2026年9月11日、「金融サービス利用者相談室」に寄せられた2026年4月1日から6月30日までの相談状況を公表しました。詐欺的な投資勧誘に関する情報は1,961件あり、そのうち何らかの被害があったものは1,616件でした。
結論:SNSの投資話は、送金前に「相手・口座・登録」を別経路で確認
被害を避けるうえで最も大切なのは、利益画面やグループ内の評判を信用材料にせず、送金する前に立ち止まることです。金融庁の登録検索で事業者を調べ、公式サイトに掲載された電話番号へ自分から連絡し、振込先が法人名義かも確認しましょう。個人名義や頻繁に変わる口座への振込、出金のための追加送金を求められた場合は、詐欺を強く疑う必要があります。
金融庁が公表した2026年4〜6月の相談状況
金融庁の公表資料によると、対象期間の相談等受付件数は合計15,418件でした。前期の15,765件から347件減った一方、投資商品等に関する相談は5,603件で、前期の5,449件から154件増えています。
| 相談の区分 | 2026年4〜6月 |
|---|---|
| 相談等の総数 | 15,418件 |
| 投資商品等 | 5,603件 |
| 詐欺的な投資勧誘 | 1,961件 |
| うち何らかの被害あり | 1,616件 |
公表値から計算すると、詐欺的な投資勧誘情報の約8割で何らかの被害が確認されています。ただし、この数字は全国の被害件数そのものではなく、金融庁相談室に寄せられた情報の集計です。相談していない人もいるため、実際の被害規模とは区別して読む必要があります。
SNS型投資詐欺でよくある流れ
警察庁の注意喚起では、SNS広告や著名人を装った投稿からグループチャットへ誘導し、投資アプリ上で利益が出ているように見せて送金額を増やす手口が紹介されています。典型的な流れは次のとおりです。
- SNS広告やダイレクトメッセージから投資グループへ招待される
- 「先生」「アシスタント」や参加者役が成功例を見せ、信用させる
- 指定されたアプリやサイト上で利益が増えているように表示される
- 個人名義などの口座へ、追加の投資資金を振り込むよう求められる
- 出金しようとすると、税金・保証金・手数料などの名目でさらに送金を求められる
画面上の残高や利益は、実際に運用されている証拠にはなりません。少額だけ出金させて安心させた後、大きな入金を促す場合もあります。
送金前に確認したい5つのポイント
1.「必ず儲かる」「元本保証」を信用しない
投資には価格変動などのリスクがあります。金融庁の注意喚起でも、「必ず儲かる」「元本保証」「損失を取り戻す」といった勧誘や、金融庁を名乗る連絡に注意を促しています。金融庁が個別の金融商品を勧誘することはありません。
2.事業者の登録を公式情報で調べる
投資を扱う事業者については、金融庁の金融事業者一括検索機能で登録の有無を確認します。ただし、登録業者の社名やロゴを無断使用する「なりすまし」もあります。検索結果から正規の公式サイトを確認し、そこに掲載された電話番号へ自分から連絡してください。SNSの相手が送ってきたURLや電話番号だけで判断しないことが重要です。
3.無登録業者の警告リストも確認する
金融庁は無登録で金融商品取引業を行う者の情報を公開しています。リストに名前がないから安全とは限りませんが、掲載されている相手との取引は避けましょう。
4.振込先の名義と変更履歴を見る
投資先と関係が分からない個人名義の口座や、振込のたびに名義・金融機関が変わる口座は重大な警戒サインです。「入金担当者の口座」「税金専用口座」などと説明されても、追加送金は止めてください。
5.家族や第三者に見せる
「今だけ」「枠が残りわずか」と急かされても、その場で決める必要はありません。チャットの内容、事業者名、URL、振込先を家族や信頼できる第三者に見せるだけでも、勧誘から距離を置きやすくなります。
NISAなら安全、という意味ではない
NISAは、一定の条件のもとで投資から得た利益が非課税になる制度です。投資商品の元本や利益を保証する制度ではありません。また、SNS上の投資グループへ資金を直接送る仕組みでもありません。NISAを名乗る勧誘でも、正規の金融機関や取引画面かを確認しましょう。
NISAの仕組みを先に確認したい方は、NISAの基本と非課税メリット、対象商品の考え方はNISA対象商品の最新情報も参考にしてください。
すでに送金してしまった場合にすること
- 相手との連絡や追加送金を止める
- 振込先の金融機関へ、詐欺被害の可能性をすぐ伝える
- チャット、広告、相手のアカウント、URL、振込記録を保存する
- 警察相談専用電話「#9110」へ相談する。緊急時は110番
- 金融庁「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」0570-050588へ相談する
- 消費者ホットライン「188」へ相談する
資金を取り戻せるかは個別事情によって異なり、必ず回収できるとは限りません。だからこそ、気づいた時点で早く金融機関や警察へ連絡することが大切です。「被害金を回収する」と近づき、前払い費用を求める二次被害にも注意してください。消費者庁も、SNSをきっかけとする投資・副業のもうけ話や、著名人になりすました勧誘に注意を呼びかけています。
FP実務での見方:投資判断より先に家計を守る
投資詐欺対策では、利回りの高さを比較する前に「家計から出してよいお金か」を切り分けることが重要です。生活防衛資金、近い将来に使う教育費・住宅費、借入金を、SNSで勧められた投資へ回してはいけません。
長期の資産形成は、目的、期間、毎月の積立可能額、許容できる値下がり幅を決めたうえで進めます。相手から急かされ、判断期限や送金先を相手に握られている時点で、通常の資産形成とは別物として立ち止まりましょう。
よくある質問
登録業者なら必ず安全ですか?
いいえ。登録業者自体が実在していても、その社名をかたる偽物の可能性があります。金融庁の検索結果と公式サイトを自分で確認し、公式の連絡先へ照会してください。
少額の出金ができれば本物ですか?
本物とは限りません。最初だけ出金させて信用を得た後、多額の入金を促す手口があります。出金できた事実だけで安全性を判断しないでください。
SNSの勧誘はクーリングオフできますか?
契約の種類や勧誘方法によって扱いが異なり、一律に適用されるとは限りません。制度の検討状況はSNS・チャット勧誘とクーリングオフの解説で整理していますが、詐欺が疑われる場合は制度の適用判断を待たず、金融機関・警察・消費生活相談窓口へ早く連絡してください。
まとめ
金融庁が2026年9月11日に公表した資料では、4〜6月の詐欺的な投資勧誘情報1,961件のうち、1,616件で何らかの被害がありました。SNSの利益画面や参加者の声ではなく、公式の登録情報、正規の連絡先、振込先名義を送金前に確認することが基本です。不審に感じたら追加送金を止め、金融機関、警察の#9110、金融庁、消費者ホットライン188へ早めに相談しましょう。
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