米国の9月耐久財受注は前月比1.8%増え、63億ドル増の3,453.7億ドルとなりました。航空機を含む輸送機器が全体を押し上げましたが、輸送機器を除いても増加しています。景気や企業の設備投資を映す指標として、米国株、金利、NISA利用者が確認したい点を整理します。
何が起きたか
確認済みの事実です。米商務省センサス局が10月27日に公表した9月速報によると、耐久財の新規受注は前月比1.8%増の3,453.7億ドルでした。8月は0.1%増へ改定されています。受注は直近7カ月のうち6カ月で増加しました。
輸送機器を除く受注は0.5%増、防衛関連を除く受注は2.2%増でした。輸送機器は4.6%増の1,198.1億ドルで、民間航空機・部品の受注は28.4%増です。自動車・同部品は0.3%増にとどまり、伸びが航空機に偏っていることも確認できます。
背景
耐久財は、機械、航空機、自動車、電子機器など、原則3年以上使う製品です。金額が大きく月ごとの変動も激しいため、総額だけでなく輸送機器を除く数字や、設備投資の先行指標とされる「航空機を除く非国防資本財」を合わせて見ます。
9月の航空機を除く非国防資本財受注、いわゆるコア資本財受注は0.5%増、出荷は1.2%増でした。機械受注は1.2%増、コンピューター・電子製品は0.8%増です。企業が設備投資を急に絞り込んでいる数字ではない一方、物価変動を調整した実質値ではない点には注意が必要です。
投資家への影響
設備投資の底堅さは、機械、産業財、半導体関連、物流などの売上を支える材料になり得ます。受注残は前月比0.8%増、在庫は0.3%増でした。受注残が積み上がれば将来の生産を下支えする可能性がありますが、納期の長期化やコスト上昇が含まれる場合もあります。
市場では、強い設備投資が企業利益にプラスという見方と、景気の強さがインフレや高金利を長引かせるという見方が並びます。金利上昇は将来利益の現在価値を押し下げやすく、成長株の評価に逆風になることがあります。受注増だけで米国株全体の方向を決めることはできません。
NISA利用者・家計への影響
NISAでS&P500や全世界株式を積み立てている人は、耐久財受注を売買の合図にする必要はありません。景気敏感株が上昇しても、金利や為替、企業決算で指数全体の反応は変わります。積立額と資産配分が家計の目標に合っているかを優先して確認しましょう。
円で米国資産を持つ場合はドル円も影響します。米景気の強さが金利上昇とドル高につながれば円換算額を押し上げることがありますが、反対に景気後退懸念が強まればドル安になる場合もあります。数年以内に使う教育費や住宅資金は、為替と株価が同時に動く資産へ寄せ過ぎないことが大切です。
FP松尾の視点
FP松尾としては、総額1.8%増よりも、輸送機器を除く0.5%増とコア資本財0.5%増を重視します。航空機は大型受注で数字が振れやすいためです。ただし、単月の速報値で投資計画を変更するのではなく、雇用、消費、物価、企業利益と合わせて景気の方向を確認する材料にとどめるのが現実的です。
注意点・反対の見方
センサス局の速報は回答の追加や季節調整で改定されます。また公表値は名目額で、価格上昇でも金額が増えます。民間航空機受注の28.4%増が続く保証もありません。反対に、受注残の増加は将来の生産を支える可能性があり、弱い部分だけを見て景気悪化と決めつけるのも早計です。
まとめ
9月の米耐久財受注は1.8%増、輸送機器を除いて0.5%増、コア資本財受注も0.5%増でした。設備投資の底堅さを示す一方、航空機の寄与、名目値、速報改定の可能性があります。NISA利用者は単月の数字で売買を急がず、分散、積立期間、為替を含む家計全体の計画を確認してください。
