総務省統計局が2026年9月4日に公表した7月の家計調査では、二人以上の世帯の消費支出が1世帯あたり30万1,245円となり、物価変動を除いた実質で前年同月比3.6%減少しました。勤労者世帯の実収入も実質3.8%減っており、家計の購買力が弱まっていることがうかがえます。

結論

家計が苦しいときに、NISA積立を意地でも維持する必要はありません。ただし、相場予想でゼロにするのではなく、生活防衛資金を守りながら「一時的に積立額を下げる」「余裕が戻れば再び増やす」という順序が現実的です。

2026年7月の家計調査で分かったこと

総務省統計局「家計調査報告 2026年7月分」の主な数字は次のとおりです。

  • 二人以上世帯の消費支出:30万1,245円
  • 前年同月比:名目1.5%減、実質3.6%減
  • 前月比(季節調整済み):実質0.5%増
  • 勤労者世帯の実収入:68万9,476円
  • 勤労者世帯の実収入:名目1.7%減、実質3.8%減
  • 勤労者世帯の可処分所得:55万4,381円、実質3.1%減

前年同月比では消費が大きく減っていますが、前月比では0.5%増です。「家計消費が一方向に悪化している」と断定できる内容ではありません。また、7月は自動車購入や住宅修繕など金額の大きな支出が減り、全体を押し下げました。月ごとの振れが大きい統計なので、見出しの3.6%だけで判断しないことが重要です。

食費は増えたのに、実質では減った

食料への支出は9万5,681円で、名目では前年同月比2.2%増えました。しかし物価変動を除いた実質では1.3%減です。支払額は増えているのに、購入できた量やサービスの実質的な水準は下がった可能性があります。

ほかにも、交通・通信は実質8.5%減、光熱・水道は9.2%減、住居は16.4%減でした。一方、教養娯楽は4.8%増えています。すべてを一律に削っているのではなく、旅行や外食などを楽しむ一方で、高額支出を先送りした世帯もあると考えられます。

注意

家計調査は全国平均です。世帯人数、年齢、持ち家・賃貸、ボーナス月などで支出は大きく変わります。30万1,245円を自分の家計の「正解」として比較する必要はありません。

投資市場と日本銀行はどう見るか

消費と実質収入の弱さは、景気を下支えする必要があるという材料になります。一般論では、日本銀行が追加利上げを急ぎにくくなる要因です。金利の上昇が緩やかなら、株式や不動産には支えとなる可能性があります。

一方で、日本銀行は物価と賃金の持続性、円相場、企業の価格設定など複数の材料で判断します。1か月の家計調査だけで金融政策は決まりません。次の金融政策決定会合は9月17〜18日に予定されています。

市場にとっては、「消費の弱さによる景気懸念」と「利上げを急がないとの期待」が同時に存在します。弱い統計だから株高、あるいは株安と単純化しない方がよいでしょう。

家計が苦しいとき、NISA積立はどうする?

NISAは長期の資産形成に役立つ制度ですが、家計を赤字にしてまで年間投資枠を使い切るものではありません。まず次の順番で確認します。

1.直近の生活費を守る

病気、失業、家電の故障などに対応できる現金を確保します。目安は一律ではありませんが、会社員なら生活費の3〜6か月分、自営業や収入変動が大きい人はより厚めに持つ考え方があります。

2.数年以内に使うお金を分ける

教育費、住宅購入、車の買い替えなど時期が決まっている資金は、株式投信へ集中させないようにします。詳しくは中期資金の貯め方で整理しています。

3.積立額を段階的に調整する

毎月5万円が厳しいなら、いきなり解約する前に3万円や1万円へ下げる方法があります。家計が回復したときに増額すればよく、非課税枠を埋めること自体を目的にしないことが大切です。

4.保有商品を売る前に家計を見直す

短期の生活費が不足する前に、固定費、保険料、通信費、サブスクなどを点検します。それでも不足するなら、積立停止や保有資産の売却を含めて優先順位を決めます。手取り収入を4分割する家計管理も参考になります。

「積立を続けるべき」という反対意見

相場が下落している時期に積立を止めると、安い価格で多くの口数を買う機会を逃すという意見があります。長期積立では合理的な考え方です。また、家計調査は前月比では増加しており、1か月の数字を過度に悲観すべきではありません。

ただし、その考え方は生活資金に余裕があることが前提です。クレジットカードのリボ払いや高金利の借入を増やして積立を続けるなら、家計全体では逆効果になりかねません。

FP松尾の視点

積立投資は「止めないこと」より、「無理なく戻ってこられる仕組み」にすることが大切です。余裕がない月に減額するのは失敗ではありません。むしろ、生活費まで投資して下落時に売却せざるを得なくなる方が避けたい状態です。

家計の優先順位は、日常生活、緊急予備資金、近い将来に使うお金、長期投資の順で考えます。投資額は収入ではなく、これらを差し引いた後の余力から決めましょう。

まとめ

2026年7月の消費支出は実質3.6%減、勤労者世帯の実収入は実質3.8%減でした。家計の購買力には厳しさが見られますが、前月比の消費は0.5%増えており、一方向の悪化とは言い切れません。

NISA積立が負担になっている場合は、相場予想で売買するのではなく、生活防衛資金を確認し、積立額を段階的に調整してください。長期投資を続けるためにも、まず家計を続けられる状態にすることが優先です。

一次情報:総務省統計局「家計調査報告 2026年7月分」日本銀行「2026年の金融政策決定会合等の日程」

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