2026年10月1日から、自営業者やフリーランスなど国民年金第1号被保険者を対象に、国民年金保険料の育児免除制度が始まります。日本年金機構は9月8日に制度・手続きの詳細を更新し、9月11日には専用チャットボットの開設を発表しました。
結論
1歳未満の子と同じ住所で暮らし、養育している第1号被保険者の実父母・養父母は、所得に関係なく対象になります。免除された期間も保険料を納付したものとして老齢基礎年金額に反映されます。ただし原則として届出が必要で、2026年10月より前の月分は対象になりません。
国民年金保険料の育児免除制度とは
育児期間中の経済的負担を軽くするため、第1号被保険者が1歳未満の子を養育している期間の国民年金保険料を免除する新制度です。施行日は2026年10月1日で、検討中の案ではなく、開始が決まっている制度です。
2026年度の国民年金保険料は月額17,920円です。免除期間が12か月なら単純計算で215,040円、9か月なら161,280円の納付負担がなくなります。実際の免除月数は、子の生年月日、養育を始めた月、実母の産前産後免除期間などで変わります。
大切なのは、一般の保険料免除・納付猶予と違い、育児免除期間が全額納付した期間と同じように将来の老齢基礎年金額へ反映されることです。家計負担を減らすために利用しても、その期間分だけ将来の基礎年金が減る仕組みではありません。
対象になる人|所得制限はない
2026年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者で、次の条件をすべて満たす実父母・養父母が対象です。
- 子との法律上の親子関係などが継続している
- 子と同じ住所で暮らしている
- 国民年金第1号被保険者である
所得要件はありません。自営業者、フリーランス、農業者、アルバイト、学生、無職の方などが第1号被保険者に該当し得ます。夫婦とも第1号被保険者で条件を満たす場合は、父母それぞれが免除対象になります。育児休業を取得しているか、仕事を休んでいるかは、この制度の要件ではありません。
法律上の実子・養子のほか、特別養子縁組の監護期間にある子や、一定の里親委託を受けている子も対象に含まれます。個別の必要書類は日本年金機構の案内で確認してください。
会社員・第3号被保険者は対象外
会社員や公務員などの第2号被保険者は、この国民年金の育児免除制度の対象ではありません。第2号被保険者には、産前産後休業・育児休業等の期間中に健康保険・厚生年金保険料を免除する別制度があります。
第2号被保険者に扶養されている配偶者である第3号被保険者と、国民年金の任意加入被保険者も対象外です。第3号被保険者はもともと自分で国民年金保険料を納める仕組みではないためです。第3号被保険者をめぐる最近の議論は、第3号被保険者制度の見直しに関する記事で、決まったことと検討段階を分けて解説しています。
免除されるのは国民年金保険料
この制度で免除されるのは国民年金保険料です。国民健康保険料や住民税、所得税まで自動的に免除されるわけではありません。家計への影響を計算するときは、負担項目を混同しないようにしましょう。
免除期間はいつからいつまで?
実父・養父母などは最大12か月
実父または養父母、産前産後免除期間を持たない実母は、子を養育することになった月から、1歳の誕生日の前月までが対象です。最大12か月ですが、2026年10月以降の月分に限られます。
たとえば2027年5月1日生まれの子を出生月から養育する父は、2027年5月分から2028年4月分までの12か月が対象です。
実母は産前産後免除に続く9か月が基本
第1号被保険者の実母には、従来から出産予定月または出産月の前月から4か月間(多胎妊娠は6か月間)の産前産後免除があります。育児免除はその期間に続く9か月間が基本です。
たとえば2027年5月1日が出産予定日の場合、実母の育児免除期間は2027年8月分から2028年4月分までの9か月です。産前産後免除と育児免除を連続して利用しても、どちらも納付済みとして将来の年金額に反映されます。
すでに子が生まれている場合
2026年10月1日時点で子が1歳未満なら、10月分から1歳の誕生日の前月分までが対象になります。たとえば2026年1月1日生まれなら、2026年10月分から12月分までの3か月です。制度開始前の月分までさかのぼって免除されるわけではありません。
届出方法と手続きの時期
原則として、育児免除の要件を満たした日以降、速やかに届出ます。2026年10月より前から1歳未満の子を養育している場合は、10月1日以降に手続きします。
- 電子申請:2026年10月1日以降、マイナポータルから申請
- 窓口:住民登録のある市区町村の国民年金担当窓口へ提出
- 郵送:市区町村の国民年金担当窓口へ届書を送付
届出様式と記入例は2026年10月1日以降、日本年金機構のウェブサイトで公開される予定です。電子申請では添付書類が原則不要です。紙の届出ではマイナンバーまたは基礎年金番号を確認できる書類が必要で、親子関係や同一住所を確認する書類は原則添付不要と案内されています。ただし外国籍、特別養子縁組の監護期間、里親委託などでは追加書類が必要です。
産前産後免除を届け出た実母で、その免除期間が2026年9月以降に終わり、日本年金機構がマイナンバー連携により親子関係と同一世帯を確認できる場合は、育児免除の届出が不要です。該当者には通知書が送られます。一方、実父・養父母、産前産後免除の届出が済んでいない実母は手続きが必要です。
前納済み・付加保険料の注意点
育児免除の対象期間について国民年金保険料をすでに納めている場合は、届出により充当または還付されます。口座振替やクレジットカードで前納している方は、育児免除終了後に振替方法が変わることがあるため、年金事務所へ確認しましょう。
育児免除期間中も、月額400円の付加保険料は納められます。付加年金を利用している方は、育児免除の届出後も納付を続けるか、家計と将来の年金見込みを合わせて判断してください。
また、育児免除期間中に子と同居しなくなるなど要件を満たさなくなった場合は、終了の届出が必要です。子が1歳になって期間満了となる場合は、終了手続きは不要です。
FP実務での見方|浮いた保険料の使い道を決める
この制度は「納付を先送りする制度」ではなく、将来の老齢基礎年金額を維持しながら、育児期の固定費を下げる制度です。対象になるなら、保険料を無理に払い続けるより、届出を行い、減った負担を出産後の生活防衛資金や収入減への備えに回す考え方が合理的です。
確認する順番は、①父母それぞれの被保険者区分、②子の1歳の誕生日、③産前産後免除とのつながり、④前納済み保険料の扱い、⑤手続きの要否です。会社員から独立した、扶養を外れたなど、途中で被保険者区分が変わった方は、対象月を年金事務所で確認してください。
社会保険の加入条件が変わるパート勤務の方は、「106万円の壁」撤廃と社会保険加入の記事もあわせて確認すると、自分が第1号・第2号のどちらになるか整理しやすくなります。
よくある質問
育児休業を取っていなくても対象ですか?
はい。第1号被保険者で、親子関係と同一住所などの要件を満たせば対象です。休業の取得や収入減は要件ではなく、所得制限もありません。
夫婦とも自営業なら二人とも免除されますか?
父母とも第1号被保険者で、それぞれ要件を満たす場合は、二人とも対象です。ただし免除期間は実母の産前産後免除との関係などで異なります。
免除すると将来の年金は減りますか?
育児免除の対象期間は、国民年金保険料を納付した期間として老齢基礎年金額に反映されます。一般の全額免除とは年金額への反映方法が異なります。
2026年9月中に申請できますか?
育児免除の電子申請と届出様式は2026年10月1日から利用できます。制度開始前から1歳未満の子を養育している方も、10月1日以降に手続きしてください。
すでに保険料を前払いしていても申請できますか?
できます。対象期間の納付済み保険料は充当または還付されます。前納後の具体的な処理や、免除終了後の振替方法は年金事務所へ確認してください。
まとめ
国民年金保険料の育児免除制度は2026年10月1日に始まります。対象は、1歳未満の子と同じ住所で暮らし養育する第1号被保険者の実父母・養父母で、所得制限はありません。免除期間は実父・養父母などが最大12か月、産前産後免除を受ける実母はその後の9か月が基本です。
免除期間は納付済みとして将来の老齢基礎年金額に反映されますが、原則として届出が必要です。自分と配偶者の被保険者区分、対象月、前納の有無を確認し、10月1日以降にマイナポータルまたは市区町村窓口で手続きしましょう。
公的情報・出典
- 日本年金機構「育児免除制度を案内するチャットボットを開設」(2026年9月11日)
- 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」(2026年9月8日更新)
- 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度が始まります」
- 厚生労働省「育児期間の国民年金保険料免除制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(国民年金)」
本記事は2026年9月14日時点の公表情報に基づく一般的な制度解説です。個別の対象月、必要書類、還付・充当の扱いは、市区町村の国民年金窓口または年金事務所へ確認してください。
