2026年度の地域別最低賃金について、全国47都道府県の地方最低賃金審議会による答申が出そろいました。厚生労働省が公表した答申状況では、全国加重平均は時給1,177円で、改定前の1,121円から56円の引上げとなる見込みです。

結論

新しい最低賃金は全国一斉に同じ日から始まるわけではなく、都道府県ごとに2026年10月1日から12月2日まで発効予定日が異なります。また、現時点の金額と日付は答申段階で、異議申出の状況などにより変わる可能性があります。パート・アルバイトの方は、自分の勤務地の金額と発効日、発効後の年収見込み、社会保険の加入条件を順番に確認しましょう。

2026年度の最低賃金はどう変わる?

厚生労働大臣は2026年9月4日の会見で、9月3日までに全都道府県の地方最低賃金審議会で答申が示されたと説明しました。全国加重平均の答申額は1,177円、引上げ額は56円です。

項目 2025年度 2026年度答申
全国加重平均 1,121円 1,177円
引上げ額 56円
発効時期 現在適用中 10月〜12月に順次予定

まだ「適用開始」ではありません

1,177円は47都道府県の最低賃金を労働者数で加重平均した数字で、全国共通の最低賃金ではありません。実際に適用されるのは勤務地の都道府県別金額です。厚生労働省の資料では、発効予定日は答申公示後の異議申出の状況などにより変更される可能性があると注記されています。

主な都道府県の答申額と発効予定日

地域によって金額だけでなく、始まる日も異なります。主な地域は次のとおりです。

都道府県 改定前 答申額 引上げ 発効予定日
北海道 1,075円 1,131円 56円 10月1日
東京 1,226円 1,280円 54円 10月1日
神奈川 1,225円 1,279円 54円 10月1日
愛知 1,140円 1,195円 55円 10月1日
大阪 1,177円 1,231円 54円 10月1日
兵庫 1,116円 1,172円 56円 10月1日
福岡 1,057円 1,114円 57円 10月4日
宮崎 1,023円 1,085円 62円 10月24日

答申額の最高は東京の1,280円、最低は宮崎の1,085円です。47都道府県の詳しい金額と予定日は、記事末尾の厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」で確認できます。

最低賃金は誰に適用される?

地域別最低賃金は、年齢や呼び方にかかわらず、原則としてその都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。正社員だけでなく、契約社員、パート、学生アルバイト、嘱託なども対象です。

派遣労働者には、派遣会社の所在地ではなく派遣先の事業場がある地域の最低賃金が適用されます。また、特定の産業に地域別最低賃金より高い「特定最低賃金」が定められている場合は、より高い金額を確認する必要があります。

時給以外の人はどう確認する?

最低賃金は時間額で示されます。時給制なら比較しやすい一方、日給制や月給制は時間額に換算して判断します。

月給制の基本的な確認方法

最低賃金の対象となる月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間で時間額を計算し、勤務地の最低賃金と比較します。

比較に使うのは毎月支払われる基本的な賃金です。厚生労働省は、次の賃金を最低賃金の計算から除外すると案内しています。

  • 臨時に支払われる賃金
  • 賞与
  • 時間外・休日・深夜労働の割増賃金
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 精皆勤手当

「通勤手当を含めれば最低賃金を上回る」という確認方法は誤りです。給与明細の総支給額ではなく、対象となる基本給や手当を分けて計算してください。

収入はどれくらい増える?

全国加重平均の引上げ額56円を使った単純計算では、週20時間働く人の年間賃金は、勤務時間が変わらなければ次のように増える計算です。

56円 × 週20時間 × 52週 = 年間58,240円

週30時間なら年間87,360円です。ただし、これは税金や社会保険料を引く前の賃金増加額です。実際の手取りは、勤務時間、欠勤、給与の締日、所得税・住民税、社会保険の加入状況などで変わります。

FPポイント

時給が上がった分だけ手取りが同額増えるとは限りません。一方で、社会保険へ加入する場合は保険料負担だけを見るのではなく、厚生年金、傷病手当金、出産手当金など増える保障も合わせて確認することが大切です。

扶養や社会保険からすぐ外れる?

最低賃金が上がっただけで、全員が自動的に扶養から外れるわけではありません。最低賃金は「1時間あたりの賃金」のルールで、税金の扶養や健康保険の被扶養者認定、勤務先での社会保険加入は、それぞれ別の基準で判定されます。

ただし、同じ勤務時間で働き続ければ見込年収は増えます。扶養内勤務を希望する方は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 勤務地の新しい最低賃金と発効予定日を確認する
  2. 雇用契約上の週の所定労働時間を確認する
  3. 10月以降の月収・年収見込みを勤務先に確認する
  4. 自分の勤務先で社会保険の加入対象になるか確認する
  5. 配偶者の勤務先や健康保険へ被扶養者認定を確認する

2026年10月には、短時間労働者の社会保険加入要件から月額8.8万円要件が撤廃される予定です。ただし、週20時間や勤務先規模など別の条件は残ります。詳しくは2026年10月「106万円の壁」撤廃へをご覧ください。

発効前に確認したい3つのこと

1.給与改定の時期

賃金計算期間の途中に発効日がある場合でも、発効日以降の労働には新しい最低賃金が適用されます。勤務先からの案内や雇用契約書、給与明細を確認しましょう。

2.勤務時間を減らす前に保障も確認する

扶養内に収めるため勤務時間を調整すると、収入だけでなく、将来の厚生年金や休業時の保障に影響する場合があります。手取りだけで決めず、公的保障と家計全体を見て判断します。

3.増えた収入の使い道を先に決める

賃金が上がっても生活費に混ざると、家計改善を実感しにくくなります。生活防衛資金、近い将来の支出、長期の資産形成に分ける考え方は、お金は3つに分けるで解説しています。

よくある質問

パートや学生アルバイトにも適用されますか?

原則として適用されます。雇用形態や年齢ではなく、どの地域の事業場で働いているかなどで適用される最低賃金を確認します。

10月から全国一斉に1,177円になりますか?

なりません。1,177円は全国加重平均です。実際の最低賃金と発効予定日は都道府県ごとに異なります。

発効前の勤務にも新しい金額が使われますか?

原則として、新しい最低賃金が適用されるのは発効日以降の労働です。給与の支給日ではなく、働いた日を基準に確認します。

最低賃金が上がると社会保険料も必ず増えますか?

直ちに全員が同じように増えるわけではありません。実際の給与額や標準報酬月額、社会保険への加入状況によって異なります。勤務先の給与・社会保険担当へ確認してください。

最低賃金を下回っていると思ったらどうすればよいですか?

給与明細と所定労働時間を確認したうえで、まず勤務先へ確認します。解決しない場合は、都道府県労働局の賃金課・室や最寄りの労働基準監督署へ相談できます。

まとめ

2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均1,177円の答申が出そろいました。主な発効予定日は10月以降ですが、地域によって12月まで差があり、現時点では予定が変更される可能性もあります。

確認する順番は、勤務地の金額と発効日、勤務時間、年収見込み、社会保険、扶養です。賃金の増加だけで働き方を決めず、手取りと公的保障の両方を比べて判断しましょう。

参考にした公的情報

本記事は2026年9月5日時点の公表情報に基づく一般的な解説です。答申額・発効予定日は変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省および各都道府県労働局で確認してください。

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